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入国,在留審査における見極め,判断要素の重要項目
1.提出書類の信憑性の判断

提出された文書の真偽を判断します。その文書が真正であるならば,次に,当該文書の記載内容の真偽について客観的事実を積み重ねて,記載内容の真偽について判断します。

就労系の在留資格を求める申請の際に添付する“雇用契約書”を例に挙げましょう。

文書の真偽とは,その雇用契約書が本物であるか,偽物であるかということです。雇用契約はそもそも,会社等の雇用者と外国人である被雇用者の合意により成立します。そして,労働基準法では,“労務の提供の対償として賃金を支払うこと”が合意の要素としています。

しがたって,賃金の支払いがなかったり,労務の提供がない雇用契約書は,雇用実態のない契約書となりますので,偽物と判断されます。

一方,雇用契約書には賃金の支払い,労務の提供が記載されており,契約書としては一応の形を為しているんだけれども,契約書に記載されている内容が疑わしい場合があります。入管が疑わしいとの印象を抱くには理由は様々です。

例えば,当事者が過去に入管法をはじめとする法令違反を繰り返している場合,雇用契約書の内容に相互の整合性がなかったり,労働基準法に則した雇用契約書であるか否か不明であったり。

当事者が法令違反を繰り返している場合においては,当事者に通知なくして,入国管理局側で雇用契約書の内容について真偽判定するための客観的事実を積み重ねます。

雇用契約書の内容に相互の整合性がない場合や,労働基準法に則した雇用契約書であるか否かのようなケースについては,入国管理局から契約内容について追加の説明や文書を要求されることが通常です。

入国管理局の文書によると,「第一次審査を書面で行った後,更に事実を確認する必要があるときは,電話,面接,実地調査等による実態の調査を行うこととなる。」としている。

あまりにいい加減な雇用契約書の場合は,入国管理局から追完の要求すら期待できないかもしれません。人間にはミスもありますが,“ミス”と“いい加減”はあまりに印象が異なります。入国管理局は審査する側であることを,審査を受ける側は忘れてはなりません。


2.常識,社会通念による総合的判断

そもそも,入国管理局が実施する審査は,事実確認をした上で,その事実を入管法等に当てはめていくのですが,その審査過程における見極めや判断に迷いが生じることがあります。

その場合は,前述しましたとおり,法律,規則等の存在意義や政策的背景に立ち戻って見極め,判断を行うこととしています。

それでも判断等に迷うことがあれば,社会の常識や社会通念により総合的判断を行うものとしています。

ただし,審査される側は,入国管理局の審査における見極めや判断が自身にとって,有利ではないからと言って“自身の常識”を主張することがないように注意しましょう。“自身の事情”と“自身の常識”は明らかに異なります。“自身の常識”を主張することは,審査基準を知らないことを露呈するばかりか,“非常識”との印象を与えかねません。

“自身の事情”を“社会常識や社会通念”と組み合わせて,入国管理局に説明することは有効的です。例えば,法律と実務に乖離がある場合などです。


3.覊束(きそく)行為

覊束(きそく)行為とは,行政庁の行為のうち,自由裁量の余地のない行為のことで,行政庁はそれをそのまま執行しなければならなりません。

入管法等上,在留資格認定証明書や上陸許可は覊束行為の対象になっています。つまり,在留資格認定証明書の交付要件,上陸許可要件は,法令が明示する要件以外の要件は一切ないとしています。

ただし,入管法が明示する要件に適合することの立証について,事実に疑義があるものとして審査し,判断することは可能としていますが,その事実が存在することを以て画一的に在留資格認定証明書の不交付等の処分をすることまではできません。

例えば, 特定の国籍等の方について不法滞在,資格外活動等の問題が多数発生していることを理由として,特定の国籍等に属することを以て一律に不利益処分を行うこと等の不利益処分を行うことできません。

つまり, 在留資格認定証明書や上陸許可の審査を受ける当事者は,その要件基準の運用に任意の取り扱いを期待することはできません。一方,審査する側の入国管理局は,申請等当事者が要件基準を満たしているからと言って,必ずしも,認定証明書交付を決定するわけではなく,上陸許可についても同様の考え方です。


4.在留資格の変更や在留期間の更新等の見極め,判断要素

在留資格変更は入管法第20条第3項を根拠として,在留期間の更新は入管法第21条第3項を根拠として,その許可の決定がなされます。各々,変更や更新を“適当と認めるに足りる相当の理由”が必要です。

変更や期間更新に関する基準省令や告示の規定を満たすことのみを以て画一的な判断することは,入管法上の“適当と認めるに足りる相当の理由”を十分に判断したものとは言えず,当事者である外国人の“家族状況”,“在留状況”,“所属する企業等の営業内容の変更”,“その他事情”を総合的に考慮して判断しなければならないとしています。

つまり,在留資格の該当性基準を満たし,その在留資格に対応する例示証明書類を添付を以て,必ずしも許可がなされるわけではなく, “家族状況”,“在留状況”,“所属する企業等の営業内容の変更”,“その他事情”も許否判断の要素となります。

とは言うものの,各地方入国管理局が異なる要件,基準により判断することは許されない事から,個々の事案を超えた問題となる事実が存在する際には,法務省に報告し,その指示を受けて統一的な取り扱いを行うべきものとされている。

在留資格の変更等の不許可決定に不服がある場合は,取消訴訟に拠ることになるが,訴訟は経済的負担が大きいことから,申請者である外国人は,まずは,要件基準をよく理解し,そして,その基準と自身の実態と照らし合わせ,再度検証し,問題点が見つかれば,その問題点を改善することを経て,再度申請を行う余地は十分残されている。


5.立証資料等の評価等

在留資格の該当性等について,その要件基準を満たしていることの立証義務は,当然ながらに申請者にあるが,提出された立証資料のみを以ては要件基準を満たしているか否かについての疑義を解消できない時,入国管理局の対応は次のとおりである。

「法令の定める要件への適合性の判断の基礎となる事実認定についても,申請に際して提出された資料,当局が収集した資料や実態調査等で判明した事実に基づき,公平かつ客観的に行わなければならないとともに,申請人に不利益な事実については,可能な限り反証の機会を与えることとする。申請人側に立証責任があることを以て十分な調査を尽くさず,あるいは反証の機会を与えることなく不利益処分を行うことは許されない。」

不許可等の不利益処分がなされ,その処分に不服ある場合は取消訴訟に拠ることになるが,取消訴訟は経済等の負担が大きいことから,不利益処分がなされる前に,更には,申請する前に,申請人の事実状況と入管法等の要件基準をよく吟味し,入国管理局担当者と意思の疎通を円滑に行うことが望まれる。
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